2つのニュース

ブルンバーグ・ニュースによると、5月2日の米株式相場は下落し、S&P500種株価指数は2008年6月以来の高値水準から値下がりしました。しかし、下げ幅は、0.2%で、終値は、1361.22でした。一方、米国国債市場は、小幅高で、10年債利回りは、3.28%と6週間ぶりの低水準となりました。この2つのニュースは、全く逆に米国経済見通しを示しています。株は、業績相場、そして、債券は、弱い景気回復です。過去、株と国債利回りは、綺麗な相関関係を示してきています。すなわち、株高・金利上昇、株安・金利低下です。しかし、最近は、株式市場が力強い上昇を続ける中、金利はどちらかというと低下傾向にあります。果たして、これらは、何かを語っているのでしょうか。米国は、過剰流動性と政策的なドル安で景気回復を演出していますが、ドル安政策が招いたエネルギー価格の上昇などから、景気回復の遅れが指摘され始めています。債券市場は、そうした動きを先取りしているように思います。以前にも書きましたが、世界の株式市場、特に、米国株式市場は、すでに過去10年間の高値近辺に入っています。一方で、過去2回の高値と比較して、企業業績、金利水準など株価を取り巻く環境は、特別に改善しているとは思われません。「Sell in May」という格言があります。5月には一旦株式を売って様子を伺うというものですが、その格言に沿った動きになるのではないかと考えます。