「マネーの王道」vol.1

# 始めた頃にラッキーなことが続いて。
長期投資時代、CSK と富士ソフト ABC のどちらかを買うか迷って、理由もなく後者を選んだ。
すると直後に CSK が悪材料発表で暴落したんです。
短期投資に切り替えた直後も、日本ドレーク・ビーム・モリンとアデルで迷って、なんとなく後者を選んだら、場後にドレーク・ビーム・モリンが下方修正で大暴落。
ここで資金が半減してたら、やる気をなくしてたと思います。
いま 1 億円損するより、ダメージが大きいんですから。
# 空売りどころか、信用取引という発想自体なかったんです。
いまもほとんど現物取引ですが、資産を作る段階で信用だけは絶対やっちゃいけない。
信用に手を出すと、資産がゼロ以下になることだってあるんで、危ないなと思って。
それに、当時はリバ(ウンド)狙いだけですごく取れたんです。
ある会社が下方修正して、100 万円の株価が 50 万円まで落ちたところで買えば、かなりのリバウンドがあった。
いまはデイトレーダーが増えたので、そこまで下げない。
70 万ぐらいで中途半端な買いが入るから、ほとんどリバウンドもないまま、再びダラダラ下げ始めたりする。
参加者が少ない時代は動きが素直だったんですね。
# (2002 年後半は)一番つらかった時期です。
アメリカ市場の乱高下に日本も巻き込まれていて、自分が売ったら暴騰、自分が買ったら暴落。
少しのタイミングの差なんですけど、恐ろしいぐらい裏目に出て。
何度も株をやめようと思いました。
# 資産が大きくなると、リバ狙いは難しい。
逆張りは下げてくるなかで拾う方法なので、買ったあと反騰しないような場合は逃げなきゃいけない。
でも、例えば 50 億円ぶんも買ってたとしたら、自分の売りの影響で株価を下げてしまう。
買って逃げてまたすぐ買い直すなんて手法は、資金が少ないときしかできないんです。
だから手法は順張りに変わったし、銘柄も何十億円入れてもビクともしない大型株に変わった。
出来高の少ない銘柄はもう監視してません。
逆張り時代は 2 ~ 3 銘柄しか保有してなかったけど、いまは 20 ~ 50 銘柄に分散しています。
大型株って、普通はそんなに動かないものなんです。
ところが、05 年夏以降、あり得ないほど急騰した。
住友金属工業なんて 1 ヵ月半で 200 円から 400 円へと倍になっちゃった。
流れに乗っかってれば儲かったんですね。
05 年春の 30 億円が冬には 80 億円と、いつの間にか増えていた。
そこへジェイコムがあって、100 億円になった。
100 億なんて意識したこともなかったけど、気がついたら……という感じです。
# 株は独学です。
始めた頃は長期投資が常識で、短期投資の本なんて出てなかったし。
誰かと情報交換とかもない。
2 ちゃんねるに書き込んだこともありますが、いまはやらない。
どの銘柄を売買するかは、相場の中で考えるしかない。
終わったあとに話し合っても仕方ないし、場中は話してる暇なんてない。
# マケスピは登場したときから使ってるんで、視覚的に慣れてるんですよ。
どれが買いか、なんとなく見えてくる。
主要銘柄のチャートは頭に入ってるので、すべてのチャートを見はしないけど、多い日だと(監視銘柄)リストを何往復もする。
# いまより上がると思ったら買い、いまより下がると思ったら売りますね。
どうなればそう思うのかについては、ちょっと……。
その銘柄の動きだけで決めてるわけではないです。
日経平均や日経先物の動き、同じセクターの他銘柄の動き、全体の出来高、アメリカ市場の水準や出来高など、いろんな要素を見て、総合的に判断してるとしか言いようがない。
全体を見るほうが、その銘柄がちゃんと見えてくるんですね。
# (ジェイコム株は)とんでもなく安い値段で買えるという事実しか見てなかった。
他の要素は関係ない。
もちろん翌日さらに安くなる可能性はゼロではないけど、そうしたら損するだけなんですよね。
実際、それで損もしてます。
そういうリスクをとらないと、なかなかリターンはないので。
# みんなが売りに走っているときに、あの人(ビクター・ニーダーホッファー)だけが上がるほうに賭けた。
しかも、全財産を投入したんです。
いくら自信があっても、普通は資産の半分とかじゃないですか。
彼はすでに成功者なんだから、そこまでしなくたっていいのに、全力で大勝負に出た。
結果的には負けてしまったけど、そういう度胸ってすごい。
真似できない。
# (「天才とは、10 億の資金を 1000 万と同じ感覚で動かせる人だと思う」と 2 ちゃんねるに)書いた頃は 10 億なんて夢の数字だったんです。
数億円を運用するなんて、想像もつかなかった。
ところが、3 億円を超えたあたりで怖くなくなったんですよ。
麻痺したのもあるけど、地合が好転したので、無邪気に買ってもどんどん儲かったことが大きい。
もし、いま天才を定義するとしたら?
うーん。
500 億を 1000 万と同じ感覚で、かな。
# もうダメなんです。
1 日で 1 億円儲けたり 1 億円損したりというのを経験しちゃうと、資金を 10 億円に減らすなんて考えられない。
刺激がなくて。
1 億円儲けるチャンスを見逃すのは、1 億円の損だと思っちゃって。
もちろん、必ず勝つわけじゃなくて、参加したために 1 億円損することもある。
だから、トレードをやらないのもつらいし、やってもつらい。
もう中毒なんですね。
# 大損でもしないかぎり、やめられない。
# 過去の例を見ると、アメリカの利上げが終わった頃が天井という傾向がある。
今年の後半は気をつけないと。
日本はアメリカに連動してるから、そうなれば資金を減らすかもしれません。