「日経金融新聞」2007 年 8 月 30 日付

  • 同じころ(八月十七日の午後二時過ぎ)、〇五年のジェイコム株の誤発注事件で二十億円を稼いだ K さん (29) の心も揺れていた。
    商社、鉄鋼、自動車——。
    朝方から好業績銘柄も割安株も売りたたかれる値動きに違和感を覚え、すぐに保有株を売却。
    利益を確定して損失を最小限に抑えた。
    数十億円を一瞬で動かす K さんも、大引け前の「株価崩落」を目の当たりにしてギリギリまで迷った。
    買いに動くか、静観するか。
    〇一―〇二年の下げ相場でも見たことがない下落。
    結局、買い向かわずに大引けを迎えた。
  • その六時間後、米連邦準備理事会 (FRB) は公定歩合引き下げを発表。
    週明け二十日の日経平均は急反発した。
    K さんは「買っていたら利益は五億円。時間と勇気が足りなかった。今年最大のミス」と悔しさをにじませる。