「Diamond ZAi ダイヤモンド・ザイ」2009 年 1 月号

  • 本当にキツイ相場でした。
    日本株は、連続して大幅下落した局面が 2 度ありましたよね。
    あの 2 度とも、前日までに全部売り切っていたんです。
    普段ならあそこまで下げたら翌日は反発するので、持ち越していい場面でした。
    今回は違和感があったので売ったのですが、それで助かりました。
    本当に紙一重だったと思います。
  • 現金にしてあれば株価の暴落を眺めるのは平気なはずなんですが、今回ばかりは“このままいったら経済はどうなっちゃうんだろう”とちょっと不安になりました。
    この先どうなると思うか?
    全然わかりません。
    ていうか、わかる人いるのかな。
    自分はその時々の相場に適応していくだけです。
  • 中途半端なところで買いを入れて、5 億円くらい損した日もあった(ものの、10 月 8 ~ 28 日を約 12 億円のプラスで終えることができた)。
  • 9 月 7 日に米国政府が、経営難に陥っていたファニーメイとフレディマックに公的資金を注入して、救済することを決めましたよね。
    それを知った時、りそな銀行が国有化されたときのことを思い出したんです。
    あの時は(国有化が決まった)当日は株価が下げたんですけど、翌日から上昇していきました。
    それと同じようになるんじゃないかと思って。
  • (45 億円を両替し、ファニーメイとフレディマックに買い注文を入れても)変なアラート(注意画面)が出て、注文がはじかれてしまうんです。
    何だろうと思ったら、その証券会社では米国株の発注は、1 万株未満までしか受け付けてもらえないことになっていたんです。
    米国株の値動きはいつも見ていたけれど、実際に買うのは初めてだったので、そんなルールがあるとは知りませんでした。
    それで、仕方がないから 9990 株ずつ注文を出していったんです。
  • (ファニーメイとフレディマックの株価は、急落して「1 ドル」になろうとしていて、4500 回も買い注文を出し続けるのは)1 日ではとても無理で、何日かに分けてひたすら買い注文を入れました。
    連日深夜の 4 ~ 5 時間、ずーっと入力しっぱなし。
    泣きそうでした。
    翌日には指や肘じゃなくて、肩のここ(三角筋)が痛くなるんです。
    注文を出すときにこの筋肉を使ってるなんて、生まれて初めて知りました。
  • 最後には、恐ろしく速く注文が出せるようになりました。
    何も考えてないのに、腕が勝手に動くんです。
    それを眺めていると、“この手は機械で、人間の手じゃないんじゃないかな”と思ったり。
  • (45 億円を使い切る前に心が折れてしまい、30 億円分の購入で打ち止めにした)ファニーメイとフレディマックは、それぞれ 2.76 ドルと 2.9 ドルまで急騰したので売れました。
    でも、(リーマン・ブラザーズの経営破綻が取り沙汰されたとき、同様に公的資金が入ると見てリーマン株を 7 億円分買い集めていたため)リーマンの破綻を食らって 7 億円の損。
    さらにこの間に円高が進んだので為替差損と、売買手数料が 1 億円以上もかかって、都合 7 億円くらいしか儲からなかった。
    あんなに頑張ったのに……。
  • (マウスを投げつけて)モニターを壊したのは、久しぶりでした。
    ええ、今までに何台も、そうやって壊してきたんです。
    それで、日本株にも集中しなきゃならないし、米ドルのままにしておくとまた買ってしまうので、米国株は止めにしました。
  • 昔から理性ではヤバイとわかっていても、チャンスと思うと無意識に株を買っている。
    今まではそれがたまたま良い方向に作用したけど、資金が膨らんでそうもいかなくなってきた。
    だから、一部を簡単には売買できないものに、替えてしまいたかったんです。